
大久保昭平氏(CaN International 国際会計事務所 代表、BDO CaN FAS合同会社 代表執行役)
2025年5月1日に世界第5位のアカウンティングネットワークファームBDO Internationalの日本メンバーファームであるBDO Japan株式会社と合弁で、BDO CaN FAS合同会社を設立したCaN International 国際会計事務所。
その狙いや今後の展望について、CaN International 国際会計事務所代表で、BDO CaN FAS代表執行役を務める大久保昭平氏に話を聞いた。

BDO代表の古藤智弘氏とCaN代表の大久保昭平氏
―2025年5月1日、CaN International 国際会計事務所は世界第5位のアカウンティングネットワークファームBDO Internationalの日本メンバーファームであるBDO Japan株式会社と合弁で、BDO CaN FAS合同会社を設立しましたね。もっとも、大久保さんはBDO CaN FAS合同会社を設立する以前からクロスボーダーM&Aに注力してきたかと思います。
大久保 CaNを設立する前にシンガポールで日系企業の海外進出をサポートしていたのが、クロスボーダーM&Aへの関与の始まりです。そして、CaNを設立した後は日本から日系企業の海外進出を後押しすることをミッションに、日系企業の海外進出やそれに伴うクロスボーダーM&Aなど、自社拠点や現地ファームとの連携を拡大しながら業務に取り組んできました。ベトナムであれば、ベトナム初の日系会計事務所として知られるI-GLOCALと協力しながら進めるといった具合にです。大型案件になると、ビッグ4などと連携しながら進めていくこともあります。
―今回、なぜBDOとタッグを組むことになったのでしょうか。
大久保 コロナ禍が収束したおかげで、企業のグローバル活動が活発化し、成長戦略や事業承継の手段としてクロスボーダーM&Aが再び注目されています。そうした中、BDOではコーポレートファイナンス分野の支援体制の強化とともに、同社のロイヤルカスタマーである国際的PEファンド向けのサービス拡充の必要性が生じ、日系独立系ファームとしてクロスボーダーM&Aに強みがあり、プレゼンスを高めてきた当社との協業というプランが持ち上がったのです。当社としても、次フェーズへの成長を考えた際に海外リソースを強化できることの魅力を感じ、前向きに合弁会社の設立を進めることにしました。
それにBDOとはこれまでにもビジネスパートナーとして世界各国で複数の共同プロジェクトを手掛けてきたことから、お互いのプロフェッショナルとしての仕事ぶりや理念を把握できていましたし、そこに共感できていたことも大きかったですね。
―どのようなシナジーを発揮できると考えていますか。
大久保 やはり世界第5位のアカウンティングネットワークファームが有する豊富な海外投資案件、海外拠点のリソースは非常に強力で、当社の豊富なクロスボーダー取引に関するコーポレートファイナンス業務の知識・経験が一体となることで、より大きなビジネスチャンスを掴むことができると考えています。例えば、国内企業が海外で売り手を探している場合、BDOのグローバルネットワークを最大限に生かせるはずです。今後はこうしたシナジーを前面に打ち出しながら、財務DDや株価算定業務はもちろん、ファイナンシャルアドバイザリー業務にも積極的に取り組んでいきたいですね。

―合同会社の設立から半年ほど経過しましたが、現状はいかがでしょうか。
大久保 すでに多くの問い合わせをいただいており、いくつかのプロジェクトが進行中です。10月からはBDO Japanのグループ会社からの出向者の受け入れも開始し、いよいよ本格的な協業が始まりました。また、11月には虎ノ門ヒルズ森タワーにオフィスを移転し、さらに信頼性やブランド力の向上に努めながら、業務を推進していきます。また、海外でBDOと監査やコンサルティングのお付き合いのある日系の大手企業からの問い合わせも多くいただいております。
―一連の取り組みを経て、今後、CaN International 国際会計事務所はどのように成長していくのでしょうか。
大久保 当社はコロナ禍においてクロスボーダー案件の激減に直面しました。現在の弊社の売上自体はコロナ禍以前よりも増えているのですが、今後の成長に向けて複数のアクションを取っていく必要があると考えています。
だからこそ、今回のBDOとの協業を飛躍の契機にしたいと考えていますし、その実現のためにオフィス移転やホームページのリニューアルなどを同時に進めているところです。こうした取り組みを通じて、「CaN」のブランド構築を図り、より多くの人たちに当社のことを認知してもらい、それと同時に、人材採用にも積極的に取り組み、これから3年くらいで日本での従業員数を60人程度、5年で100人以上に拡大できればと考えています。
―人材育成についてはどのように進めているのですか。
大久保 海外業務は特有の論点や留意点はありますが、国内業務における取引に係る専門性や経験はクロスボーダー案件にも応用可能です。そのため、当社ではまず国内案件の経験を十分に積んでもらった上で、クロスボーダー案件に取り組んでもらうようなキャリアも準備しています。もちろん、海外駐在の機会もあるので、グローバルな環境でビジネスに取り組んでみたい方にとっては、とても刺激的で、成長の機会は十分にあります。
―今後、クロスボーダーM&Aはどのようになっていくと思いますか。
大久保 今後はアウトバウンドM&Aだけでなく、東南アジア諸国の台頭、物価や為替などを背景にインバウンドM&Aも伸びてくるはずです。BDOとの連携を生かし、そういったビジネスチャンスもしっかりと掴みながら、全体の売上を拡大しつつ、アウトバンドを7割、インバウンドを3割くらいのバランスにできればと思っています。
他方、アウトバウンドM&Aに関しては従来多かった製造業の案件が落ち着いてきています。海外進出するにしても、ITやテクノロジー系企業、OEMやファブレスを前提とした小規模な案件が増えているような印象です。対して、経済成長が目覚ましい国のマーケットを対象として飲食や小売等のサービス業に係るビジネスも活況で、進出案件も目立ってきています。そういった時代の変化にしっかりと目を光らせながら、顧客ニーズに柔軟に対応していきたいですね。
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