公認会計士プラットフォームを最大限に活用して
日本企業の課題を解決する!!

ブリッジコンサルティンググループ、I-GLOCALグループ

宮崎良一氏(写真右)、蕪木優典(写真左)

独自の公認会計士プラットフォームを活用し、幅広い経営管理支援サービスを手掛けるブリッジコンサルティンググループ㈱。2023年6月にIPOを果たした同社の宮崎良一社長に、I-GLOCALグループの蕪木優典がIPOへの思いや今後の展望について聞いた。


ブリッジコンサルティンググループ、I-GLOCALグループ

キャリアサマリー
宮崎良一 みやざき・りょういち
ブリッジコンサルティンググループ株式会社 代表取締役CEO
大手監査法人にて会計監査・IPO支援業務・内部統制支援業務・IFRS導入支援業務等、さまざまな業務を経験。5年間の監査法人経験を得て、2011年10月に株式会社Bridge(現・ブリッジコンサルティンググループ㈱)を設立し代表取締役CEOに就任。その後、多数の成長企業を中心に経営管理コンサルティング業務に従事。人間関係を大切にし、クライアントと同じ立場にたち、当事者として全力で業務に従事することをモットーとしている。

蕪木優典 かぶらぎ・ゆうすけ
I-GLOCALグループ 代表
1972年生まれ。1994年慶應義塾大学経済学部卒業。1996年朝日監査法人(現・あずさ監査法人)に入所。1999年アーサーアンダーセンベトナム(現・KPMGベトナム)に出向し、以来、ベトナムでのビジネスに携わる。2000年に日本人で初めてベトナム公認会計士試験に合格し、ベトナム公認会計士登録。2003年にベトナム初の日系資本会計事務所(現・I-GLOCALグループ)を創業。現在はホーチミン、ハノイ、東京に拠点を設け、大手上場企業を中心に1000社超の日系企業のグローバルビジネスをサポートしている。

IPOを目指すまでの道のり

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蕪木 公認会計士がIPOを果たす例が増えているように感じています。宮崎さんもまさにそのおひとりですね。
宮崎 IPOを成し遂げた公認会計士は約15人いますが、私としてはこの流れをもっと加速させていきたいと考えています。

蕪木 公認会計士がIPOを果たすには、どういうキャリアプランが考えられますかね。
宮崎 最初は大手監査法人に入り、5~10年は基礎を学んでほしいですね。その後、コンサルティング会社などに所属し、経営の疑似体験をした上でCEOかCFOを経験してほしいと思います。
 最短だと、22、23歳で大手監査法人に入り、30代中盤くらいでCEOかCFOのポジションを経験していただきたいと思います。ただ、あまりにも早すぎると金融機関との取引が難しくなる場合もあるので、このくらいが妥当な年齢であるように思います。

蕪木 宮崎さんご自身はどのような思いでキャリアを歩んできたのでしょうか。
宮崎 少し変わっているかもしれませんが、20代の時から「生きることに意味はない」という考えを持っているんです。こう言うと悲観的な人間だと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。生まれた意味はないけれど、1分1秒を大切にし続けることで、死ぬ時になってはじめて生きてきた意味が見えてくるはずと思っているんです。
 そのせいか、目標の立て方もちょっと違っていて、やみくもに「プロ野球選手になりたい」といった大きな夢を持つのではなく、とにかく現実的なことを目標に据え、その実現に向けて一生懸命取り組んできました。

蕪木 その延長線上に現在の宮崎さんがあるわけですね。
宮崎 実際、自分のキャリアを思い返すと、最初から「起業したい」「上場したい」と思っていたわけではなく、たまたま大手監査法人に入り、たまたまIPOを担当してきたわけです。でも、その頃にリーマンショックが発生したことが大きな転機になりました。大手監査法人の花形というプライドを持ってIPO支援に取り組んできたのに、リーマンショックを機に仕事がほとんどなくなり、一転してお荷物扱いされ、部門ごと解体されてしまったわけです。当時、27歳くらいだった私はその事実を受け入れることができず、監査法人を後にしました。

蕪木 その後はどういうキャリアを歩んだのですか。
宮崎 辞めてから1年くらいは、自己研鑽とリフレッシュを兼ねて趣味に没頭していました。そうしたら、監査法人時代のクライアントから「時間があるなら手伝ってくれ」と言われ、徐々に仕事が増えていき、ひとりでは対応できなくなったため、先輩や同僚、後輩に協力を依頼し、さらにウェブで仲間を募集しました。こうして独自の公認会計士ネットワークが形成されましたが、今度は業務委託における品質管理が課題になりました。そこで、ネットワークに参加してくれている人たちの得手、不得手を見える化し、最適な形で業務委託を進められるようにしていったのです。こうした取り組みや改善を10数年間続けた結果、現在の当社のビジネスの基盤となる公認会計士プラットフォームを構築することができたわけです。

「日本を救う」ための公認会計士プラットフォーム

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蕪木 IPOを目指した背景にはどのような思いがあったのですか。
宮崎 先ほど申し上げたとおり、最初はIPOをまったく意識していませんでした。会社の成長とともに、「日本に貢献したい」という思いが次第に強くなり、それを現実的に成し遂げるには「IPOが最短ルートだ」という結論に至ったわけです。

蕪木 どういう点で日本に貢献できると考えたのでしょうか。
宮崎 現在、多くの日本企業が事業承継問題に直面しています。このような局面では、数字に強い公認会計士がプロ経営者として活躍したり、あるいはM&Aを通じて事業承継問題を解決する役割が求められていると考えています。つまり、「公認会計士が日本の課題を解決する」という可能性を強く感じるようになったのです。

蕪木 それで「公認会計士の知見・経験を活用した経営支援サービス」を深掘りし、約4500人の公認会計士からなるプラットフォームをベースにIPO支援やリスクマネジメント、アカウンティング、FAS、さらには人材紹介や転職支援を展開するようになったわけですね。とはいえ、ひと口に公認会計士といっても、経営やマネジメントに向いている人とそうでない人がいるように思います。
宮崎 そのあたりもしっかりと見極めながらプラットフォームを構築・活用していくことになります。公認会計士は日常的にクライアントの経営分析を行っているため、自然と経営者視点を磨くことができる環境にいます。多くの経験を積むことで、比較的早い段階でプロ経営者として活躍できると確信しています。
 ただ、一方で時代の変化とともに、経営やマネジメントに求められる資質が変化してきている点にも注目しなければなりません。

蕪木 どの時期に、どのような変化がありましたか。
宮崎 2000年の「IT革命」前後が大きな潮目になっています。IT革命の前までは「正確な情報をいち早く入手できるかどうか」が重要な仕事でしたが、それ以降は多くの情報がネット上に流通するようになったので、有象無象の情報のなかからいかに有用かつ正確な情報をピックアップし、経営に生かせるかということが重要になってきました。情報量や情報のチャネルはますます増えているので、この傾向はこれからもっと顕著になっていくことでしょう。また、ネット上に流通していない一次情報をいかに入手するかということも、これまで以上に重要になってくるはずです。
 
蕪木 情報の取捨選択には未来志向的な考え方が必要になりますね。しかし、監査業務を主とした場合、どうしても目線が未来に向かわず、過去に縛られてしまう気がします。
宮崎 そういったところでモヤモヤとした思いを感じている方にこそ、当社のプラットフォームに参加いただき、自己成長とかやりがいが感じられる業務にチャレンジしてほしいですね。それが結果的に日本や日本経済に寄与することになるはずですから。

海外にも目を向けて、活動の幅をさらに広げたい

蕪木 ブリッジコンサルティンググループは2023年6月に東京証券取引所グロース市場にIPOを果たしたわけですが、実際に上場してみて心境の変化などはありましたか。
宮崎 身をもって上場してみたわけですが、マイナスを感じたことは一度もないですね。特に知名度や信頼度の向上という点ではこれまでにないほどの成果があがっています。

蕪木 今後の方針としてはどのようなことを想定されていますか。
宮崎 今後は、ミッション2030として掲げている、『公認会計士の経験・知見・想いを集約し、最適配分を可能にするプラットフォームを創る』に邁進していきます。さらなるプラットフォームの充実のため、I-GLOCALグループをはじめとした他社との提携も積極的に進め、公認会計⼠のオールジャパン連合として、グローバル市場で規模拡⼤を図っていきたいと考えています。

蕪木 その源泉となる人材についてはどう考えていますか。
宮崎 現状、当社のプラットフォームに参加してくれている人材の多くは30~40代なのですが、今後は大手監査法人を退職した50代以上の人材にも目を向けていきたいと思います。

蕪木 公認会計士以外の人材についてはどうですか。
宮崎 ゆくゆくは税理士や社会保険労務士などにも範囲を広げていくことになるかもしれませんが、今のところは公認会計士に集中したいと考えています。日本には公認会計士だけでも約4万2000人存在しており、当社のプラットフォームにはさらに大きな成長の余地があると考えています。まずは公認会計士という領域でやれること、深掘りできることを徹底的に追求し、その後で他の領域にも目を向けていければと考えています。

蕪木 これからも公認会計士のポテンシャルを最大限に引き出しながら、日本のために奔走してください。

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