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茨城 敏夫 いばらき としお

海外のネットワークとコンプライアンスの視点をもってM&Aを支援する

生年月日 1972年10月3日
所属企業 ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)
役職 パートナー弁護士、弁護士、公認会計士
最終学歴 Columbia Law School (LLM)
出身地 東京都

目 次

キャリアサマリー

  • 1995年

    早稲田大学政治経済学部卒業
    青山監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)入所

  • 2003年

    ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)入所

  • 2005年

    国内大手証券会社のプライベート・エクィティ投資部門に出向(~2007年)

  • 2011年

    Columbia Law School (LLM) 卒業
    Baker McKenzie.Wong & Leow(シンガポール)勤務(~2012年)

  • 2014年

    ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)パートナー

 大学卒業後に大手監査法人に入所し、公認会計士として上場会社等の会計監査に従事して私の視野は大きく広がりました。"企業"という組織の活動を会計上の数字を通して把握することができるようになったからです。また、会計監査の基礎となる「内部統制」の考え方は、企業の仕組みを理解する上で非常に役立ちます。公認会計士として培った知識や経験は、自分の原点になっていると言えます。
 公認会計士としてのキャリアを積み重ねていく過程で、徐々に法律の分野にも興味を抱くようになりました。会計は企業活動の過程及び結果を移す鏡とも言えますが、その企業の活動を直接規制する法律の仕組みを理解したいと思ったからです。法律に関しては、それまで会計士試験で「商法」を勉強した程度でしたので悩みましたが、一から法律を勉強して弁護士資格を取得して、企業法務を専門に扱う渉外法律事務所に入所し、今日に至ります。

1M&Aアドバイザーになった経緯

イメージ

 公認会計士としてのバックグラウンドがあった私にとって、訴訟や知的財産等の分野と比較して、M&Aは自分の強みを生かしやすい分野でした。
 また、弁護士2年目から国内大手証券会社のプライベート・エクィティ投資部門に2年間出向する機会があり、様々な種類のM&A案件に関与させてもらったことも大きく影響していると思います。出向先で、デュー・デリジェンス(DD)や買収契約の交渉のサポートだけではなく、プレーヤー側から、案件の組成、クロージング後の対象会社の事業改革、さらにはエグジットに至るまでの全ての段階に関与することができたことは、私にとっての大きな財産になっています。経営危機にあった上場会社の3,000億円規模の再生案件において、当時弁護士3年目であった私が、PEファンドからの出資に難色を示す創業者の社長に経営再建案を納得させるための会議資料を準備して、引導を渡す役のメインバンクの頭取クラスの幹部にその内容を説明したのですが、その際の緊張感は今でもよく覚えています。

2M&Aアドバイザリー業務の概要

 私が所属するベーカーマッケンジーは、世界46カ国に77オフィス、6,000名以上の各国弁護士資格者を擁する、世界最大級の国際総合法律事務所です。ローカル・ビジネスに関する深い知識、経験とともにグローバルな視点を兼ね備えたベーカーマッケンジーのサービスは、世界各地のクライアントから高い評価と信頼を得ています。
 その日本における拠点事務所であるベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)(「東京オフィス」)は、外国法共同事業事務所として国内最大の規模と最長の歴史を誇っています。日本法及び外国法双方の弁護士資格を有する人材を多数擁し、世界各国のメンバーファームとの緊密な連携のもと、「世界での挑戦を、あなたとともに。」をモットーに、企業の国籍、法領域、言語を問わず、国際的にビジネス展開するクライアントへ、最上のリーガルサービスをお届けすることを目指しています。
 最近では特に、日本企業の積極的な海外事業展開に伴い、日本企業によるアウトバウンドM&A案件において、ベーカーマッケンジーの強みを生かすことができるケースが増えていることを実感しています。東京オフィスには、M&Aを強みとする弁護士が約50名所属しています。アウトバウンド案件では、パートナー1名に加えてアソシエイト1~2名程度で法務DD、契約交渉及びクロージングの法務支援等を担当しますが、実は、その裏には、世界各国でM&Aを専門に扱う1,300名を超えるベーカーマッケンジーの弁護士のサポートがあります。東京オフィスの弁護士は、それらの弁護士と協働して、日本企業による海外現地企業の買収をはじめ、合弁事業や事業提携による海外進出、海外の上場企業を対象とした公開買付けその他の買収及び資本提携、また既存事業拠点の拡充あるいは海外事業からの撤退を強力に支援しています。
 このネットワークの強みを言葉で伝えるのは簡単でないのですが、ベーカーマッケンジーでは、弁護士は入所1年目から世界共通の研修プログラムを受けることができ、オフィス間の人事交流も盛んで、ベーカーマッケンジーに所属する弁護士は、国籍を問わず同じ価値観を共有することができています。日本企業のクライアントからインドネシアの外資規制に関する質問があれば、ジャカルタオフィスの同僚に電話一本で相談したりすることが日常的に行われています。それは、南アフリカの法律問題であっても、トルコであっても同様です。実際に、私も、米国留学後に、ベーカーマッケンジーのシンガポールオフィスで約1年間勤務しましたが、東京オフィスの弁護士の多くがそのような海外のベーカーマッケンジーオフィスでの経験を有しており、それが当事務所の強みの1つであると自負しています。

3独自の強みと今現在の仕事との関係性

 シンガポールオフィス駐在時に、日本の大手電機メーカーの東南アジアの贈賄防止コンプライアンス体制の整備をサポートする機会があり、その際に、日本企業の海外拠点におけるコンプライアンス、さらにはガバナンス体制が非常に脆弱であることに危機感を覚えました。
 帰国後に、日本企業の東南アジアの子会社における贈賄案件の社内調査の依頼があったのですが、これが、私にとって1つのターニングポイントと言える案件となり、それ以降海外のコンプライアンス分野に注力するようになりました。その日本企業はNY証券取引所に上場していたために、違反企業に対して高額の制裁金(100億円を超えるケースもめずらしくありません。)が科せられるリスクのある米国FCPA(Foreign Corrupt Practices Act)が直接適用される案件でした。そのため、米国ワシントンD.C.オフィスの元検察官の同僚弁護士と一緒に約1年間かけて、社内調査から再発防止策まで実施して、最終的に高額の制裁金を回避することができました。日本の第三者委員会による調査手続とは大きく異なる米国流の調査手続やコンプライアンスの考え方に大きな衝撃を受けました。また、現地の役職員のインタビュー等では、ベーカーマッケンジーの現地オフィスの弁護士のサポートを受けることができ、M&A案件以外でも、ベーカーマッケンジーのネットワークの有用性を再認識できた案件でもあります。
 私の現在の仕事との関係では、インバウンド又はアウトバウンドのM&A案件も扱っていますが、日本企業の海外事業に関連した社内調査や海外拠点のコンプライアンス体制の整備に向けたアドバイス等の業務の割合が増加しています。ただ、M&A案件とコンプライアンス案件は全く異なる分野というわけではありません。最近、M&Aを遂行する上で、コンプライアンス問題がネックになるケースが増えています。例えば、賄賂が蔓延する国々で事業を展開する会社の買収案件では、対象会社の贈賄防止に向けたコンプライアンス体制をDDの過程で評価したり、買収後の体制整備を支援したりします。また、会計不正を中心に不祥事事案の増加に伴い、M&Aの交渉中や契約締結後に不祥事が発覚して、その評価が必要になるケースも増えています。そのような案件では、特に、自分の強みを生かすことができているのではないかと考えています。

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