日米のM&Aに精通する
生年月日 | : | 1975年 |
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所属企業 | : | 長島・大野・常松法律事務所(ニューヨークオフィス) |
役職 | : | パートナー、オフィス共同代表 |
最終学歴 | : | The University of Chicago Law School(LL.M) |
出身地 | : | 東京都 |
現住所 | : | 米国ニューヨーク |
異なるカルチャー間でディールをやると、必ず、思い違いやミスコミュニケーションが生じます。日本の方は、よく、本件は先方との信頼関係に基づくディールだから、細かいことや微妙なことは契約書に書かず、問題が生じたときに誠実協議すれば良いという考え方をしがちです。米国においてももちろん信頼関係は重要ですが、信頼関係があることと契約書に細かいことを規定しないこととは別物です。米国の当事者側の弁護士から細かい契約書が送られて来て、日本サイドが信頼関係に基づいてやっているのにと失望し、大幅に契約書の文言を削除して返しても、ディールはまとまりません。米国は訴訟社会であり、また訴訟に負けたときの賠償額や訴訟を追行するのに必要な弁護士費用は日本と桁が違い、さらに人材の流動性が高く将来紛争になったときにディールを担当した社員は転職済みでもういないということがよくあるので、紛争予防が極めて重要です。このような文化的・法律的カルチャー間の誤解を解き、両当事者が相互理解の下、両当事者にとって満足できるディールが成立したときが、一番達成感を感じます。単なる言葉のトランスレーターではなく、文化とリーガルのトランスレーターとしての役割を果たせたときということになります。
やはり、2017年にニューヨークに来るかどうかについては大変悩みました。というのも、東京での仕事はうまくいっており、別にそのままでも残りの仕事人生を大過なく過ごせそうだったからです。もっとも、40代になり、自分の人生はこのままでいいのだろうかという思いも心の片隅にありました。そのころ、留学から帰国した後輩から、こんな言葉をかけられました。「涼さんはもう事務所でもパートナーだし、もう人生の目標達成しましたね。自分もそれに続きたいと思います。」ところが、この言葉は大変引っかかりました。自分としては、人生到達地点にあるとは思っていなかったからです。このままなあなあと過ごしてもあと20年くらい大過なく過ごせたかもしれません。でもそんなことで貴重な40代が終わっていいのかと。やっぱり、まだチャレンジできるのではないか、あるいはようやくチャレンジできるようになったのではないかと。そもそもニューヨークに帰りたいと10年前に思っていたのではないかと。そんな思いでニューヨークに戻って来て、今のチャレンジをしているわけですが、ニューヨークはまさにバイタリティー溢れるオポチュニティーの街ですので、やりがいがあると感じており、決断して良かったと思っています。
基本的なことですが、相手を理解しようとする気持ちが一番重要です。相手の考えを理解できなければ、交渉において着地点は見つけられないからです。その上で、大局から見て、クリエイティブかつフレキシブルに問題解決をする能力が必要です。あとは、M&Aは、どんな件であっても予想外のことが起こって、予定どおり進まず、また時間が限られていることが多いので、週末や夜通し働く体力とそういう状況をむしろ面白いと思えるM的な気質が必要とされているかもしれません(笑)。
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