朝倉厳太郎 あさくら げんたろう

・2004年、㈲F.A.コンタクト 代表取締役就任
・2008年、あずさ監査法人 入所
・2012年、㈱ピー・シー・ピー 代表取締役社長就任
・2014年、合同会社gtra and company 代表執行役就任
・2023年、KOSOパートナーズ合同会社 代表社員CEO就任

●その他の主な活動履歴
・KidsDiary㈱ 取締役CFO
・ソルトコンソーシアム㈱ 執行役員CFO
・ハイアス・アンド・カンパニー㈱ 取締役（現任）
・㈱M＆Aクラウド 監査役（現任）
・オルバイオ㈱ 監査役（現任）
・㈱Azoop 監査役（現任）
・㈱渋谷サービス公社 監査役（現任）
・日本公認会計士協会東京会 常任幹事（現任）
・林野庁事業評価技術検討会 委員（現任）
・東京地方裁判所 専門委員（現任）
・順天堂大学 経営学講師（現任）

1M&Aアドバイザリーを始めたきっかけ

　公認会計士を目指し始めた頃から企業結合や事業分離といったスキームに興味を持っていたのですが、私が監査法人に入所した頃はM&Aはまだ一般的ではなく、かつ監査とは異なる領域にあったことから、当時は携わる機会に恵まれませんでした。ところが監査法人を退職し、さまざまな会計士と交流を深めていく中で、M&Aに精通している方が多いことに気づき、私も思い切ってM&Aの経験を積んでみることにしたのです。

　といっても、私はもともと大学時代から会計を専門に学んでいたわけではなく、当初はITコンサルタントとしてのキャリアを積んでいました。ITコンサルタントとして働く中で、経営知識を学びたいという意識からMBAと公認会計士という資格を知り、新試験制度に変わるタイミングでもあったことから、猛勉強の末に公認会計士になったのです。その後、監査法人では数年間、IPO支援や監査を担当。その中で、会計士のことが世の中であまり知られていないばかりか、会計士自身が会計士のキャリアなどに十分な理解がないことに気づき、監査法人を退職してからは会計士業界を盛り上げたいという一心で、会計士のキャリア支援や転職を支援する事業を立ち上げ、その後もさまざまな会社や事業の立ち上げに携わってきました。

2現在の業務の概要

　2023年の夏に立ち上げたKOSOパートナーズ合同会社のCEOを務めています。当社は㈱コダワリ・ビジネス・コンサルティングの大谷内隆輔社長と一緒に立ち上げた会社で、コンサルタント色の強い会計事務所になっています。

　その柱のひとつがIPOに関する財務戦略の立案及び実行支援です。企業がIPOを目指す際に、事業戦略を明確にし、その達成に必要な資金や人材の調達スケジュールも含め、IPOに必要なものを可視化し、対応を進めていきます。例えば資金調達に関しては、クライアントの財務状況や事業状況を加味したうえで適切な資金計画や資本政策を設計。人材調達に関しては、人材紹介会社に携わっていた経験を生かし、適切な人員配置の設計や人材マッチングを進めたりしていきます。また、その後の監査法人や証券会社とのやり取りはもちろん、上場後のガバナンスやコンプライアンスの体制構築もサポートしています。

　また、M&Aにも力を入れており、財務・税務デューデリジェンスやバリュエーションの支援を手掛けています。こちらでもIPO支援の時と同様、場合によっては専門家として企業の内部に入り、計画の立案や人材・資金の調達に奔走することもあります。

3独自の強みと現在の仕事との関係性

　私の強みは財務と税務の両面、そして上場企業のベストプラクティスを理解していることだと考えています。監査法人やこれまでの業務を通じて、若いうちからさまざまな上場企業の会計データを比較したり、プロジェクトに参画したりして業務に活用してきたことは、M&AやIPOの支援に大いに生きています。

　特に上場企業のM&Aを支援する場合は、将来を見据えて数字を細かく積み上げていかなければならないうえに、その内容を正確に外部に報告しなければなりません。この検証という点においても、監査経験を有する会計士のスキルはM&Aコンサルタントに適していると思います。

　IPOに関しても監査法人での経験が生きています。まず上場準備に必要な会計監査では、監査法人の仕組みや性質を熟知しているため、監査法人とコミュニケーションをスムーズに進めることができるという点があります。また、上場するには証券取引所の審査を通過する必要がありますが、その際のガバナンスやコンプライアンスの整備に関しても、上場企業監査の観点が非常に役立ちます。