小川   達大さんの写真

小川 達大 おがわ たつひろ

経営コンサルタントとして、経営上の意思決定の1つであるM&Aを支援

生年月日 1985年9月7日
所属企業 コーポレイトディレクション(CDI)/ oriri (a CDI Company)
役職 Executive Consultant, CDI | President, oriri
最終学歴 東京大学法学部
出身地 奈良県
現住所 東京都

目 次

キャリアサマリー

  • 2008年

    コーポレイトディレクション(CDI)入社

  • 2011年

    ベトナム法人立ち上げのためにホーチミン市駐在

  • 2016年

    シンガポール駐在

  • 2020年

    CDI内カンパニーoriri創業

1M&A等に関連する主な経験

 M&A専門のコンサルタントというよりは、経営コンサルタントとして、M&Aの支援を経験してきました。対象国は、日本と東南アジアで、支援内容は対象企業/事業が決まる前段階での戦略策定、対象企業の探索、条件交渉、そしてそれらと並行したビジネスデューデリジェンス、買収後のPMI支援などです。具体的には以下のように羅列してみたので、ご覧ください。

【IN-IN(日本国内でのM&A)】
・IT企業の経営統合に関わるビジネスデューデリジェンスならびにPMI支援
・成長戦略の一環としての買収戦略の策定(複数)
・ファンドによる出資/買収に関わるビジネスデューデリジェンス(複数) など
【IN-OUT(日本企業によるアジア企業のM&A)】
・食品飲料メーカーの東南アジア企業買収に関する戦略策定ならびにPMI支援
・IT企業の東南アジア企業買収に関する戦略策定ならびにPMI支援
・建設会社の東南アジア企業買収のフィナンシャルアドバイザー
・運送会社の東南アジア企業との資本業務提携支援
・流通会社のアジアスタートアップとの資本業務提携支援
・買収対象企業の要件整理と候補の探索(複数) など

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2企業にとってM&Aとは何か

 ひと言であらわすならば「経営者として、勝率3割の大勝負を決断できるか」だと思います。
M&Aの成功確率が決して高くないことは多くの人が知るところです。「成功」の定義は難しいですし、いろいろなメディアでいろいろな言い方がされていますが、仮に「勝率3割」だとすれば、「スジの悪い手」「やめておいた方が良い勝負」かもしれません。ところが、現実にはさまざまな企業がM&Aに取り組んでいます(買う会社があるということは、売る会社もあるということです)。なぜ、こんな「スジの悪い」ことに取り組む必要があるのでしょうか。

 そこでまず、その難しさについて考えてみたいと思います。買収前の段階では圧倒的な情報の非対称性があります。買い手としては、丁寧にデューデリジェンスをして、契約上の工夫を織り込むことが必要ですが、それには限界があります(アジア企業の買収では、その傾向はさらに顕著です)。どんなにロジックを詰めても「正当な価格」というのは心もとないものです。

 次いで買収後には、いわゆるPMI(買収後統合)のステージに入ります。買収前とは異なる解像度で対象企業の実態が見えてきて、当初想定していたシナジーの実現性が下がってしまったり、「買った側vs買われた側」の構図がさまざまな形で陰に陽に表出して人心を乱したり、と買収効果の実現を妨げる障壁のオンパレードです。そもそも、1つの法人としての人格と個性を持つ企業を、あたかもモノのように扱い「統合」しようする姿勢自体に無理があるのかもしれません(M&Aは「違った環境で育ってきた2者(2社)が1つ屋根の下に入る」ということで〝結婚〟にたとえられますが、実際の結婚で相手方を〝統合〟しようとするでしょうか)。私たちのクライアントが「交渉中は徹夜をすれば乗り切れる種類の大変さだったが、PMIの大変さは別モノ」と仰っていたことを思い出します。

 一方で、その意義に目を向けてみましょう。企業や事業の買収は、経営学的にいえば「外部の経営資源の内部化」です。ここでいう経営資源は、いわゆるヒト・モノ・カネに加えて、知的財産やブランドやネットワークなども広く含まれます。自社のオーガニックな発展だけでは実現しづらそうな経営資源の束を手に入れるためには買収が有効になる状況もあるでしょう。
加えて広義にいえば、「モノの考え方」も経営資源といえるかもしれません。それぞれの企業には永年の時を経て醸成された「その会社らしいモノの考え方」があります。しかし、その「らしさ」は、「過去と現状への固執」に繋がり変化に抵抗する足枷になることも少なくありません。企業の「らしく、あたらしい」発展のために、〝異物〟を内部に取り込むという意味で、買収が有効になる状況もあるでしょう。

 つまりM&Aとは、現状の延長線上では実現し得ない自社の変化を実現するために、「外部の経営資源の内部化」という〝苦労の多い道〟を(選択的に)歩むことだといえます。それゆえ、M&Aに関する意思決定とは、〝現状の延長線上に描かれる自社の未来〟と〝M&Aを実行した場合の非連続な自社の未来〟との比較において行われるはずです。

 そういう性格の意思決定であるので、本来の議論の対象は、買収対象企業/事業の客観的な分析(収益性・リスクなど)というよりは、その対象企業/事業の内部化を前提にした自社の経営方針「Corporate Direction(=主体的な意志)」を中心とするべきです。M&Aに関連して会計上認識される「のれん」は、英語では「Goodwill」ですが、まさに「未来への意志(will)」へと解像度を上げ、その未来への(険しい)道のり(後戻りはなかなか難しいモノです…)の一歩目を踏み出す覚悟をするか、ということだと思います。

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3M&Aにおける経営コンサルタントの意義は何か

 M&Aのプロセスが本格化すると、さまざまなアドバイザーに囲まれることになりますが、多くはディールプロセスに関するアドバイザーであり、ディールの成立に強いインセンティブがかかった存在と、専門的見地からリスクを指摘する(専門家としてはリスクを指摘することがリスクヘッジになる)存在です。

 一方で、経営判断とは常に、複数の個別的/専門的立場からの認識と意見を統合し、不確実な要素も抱え込んだうえで、決断をすることです。私は経営コンサルタントとして、そういった決断に寄り添う第三者でありたいと思っています。

 別の観点でいえば、〝過去から未来へ続く経営の営みにおける1つの(大きな)変曲点であるM&A〟を支援するために、クライアント企業の「人生」全体(過去から未来)を視野に入れた対話ができる存在でありたいと思います。「未来への強い意志」を携えて険しい道のりの一歩目に踏み出す経営者の伴走者として。

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