どんな案件でも前向きに取り組むことで 中小規模のM&Aにも柔軟に対応
生年月日 | : | 1979年7月24日 |
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所属企業 | : | やまと監査法人 やまと税理士法人 やまとパートナーズ株式会社 |
役職 | : | 代表社員(やまと監査法人、やまと税理士法人) 取締役 (やまとパートナーズ株式会社) |
最終学歴 | : | 早稲田大学政治経済学科 |
出身地 | : | 東京都江東区 |
現住所 | : | 東京都江東区 |
財務デューデリジェンスや株価算定が終わり、クライアントからお礼の言葉をいただける際にも達成感を感じますが、それ以上に買収が終わって1年後くらいに「おかげさまで買収した会社とは非常にうまくいっている」といった言葉をいただけたときに一番ありがたく思います。
私たちが財務デューデリジェンスをさせていただく小規模の会社ですと、企業価値のほぼすべてがオーナー経営者に帰属しているということもあります。そして、そういった場合、特定の売れ筋商品や組織に蓄積された技術・ノウハウにより安定したキャッシュフローが見込めるような事業があるわけではなく、毎年の利益の源泉がオーナー経営者を中心とした特定のキーマンの技術や人脈に依存していることがしばしばあります。
ですから、私は財務デューデリジェンスにおいては、その企業の財政状態や収益構造を調査するとともに、付加価値の源泉が一体どこにあるかという視点を重視し、買収後にその付加価値をしっかりと引き継ぐためにはどのように売り手との条件を定めればいいかについてもアドバイスするようにしています。
他方、売り手が高齢で後継者を探しているような地元の名士の場合、売却価額よりも、雇用の安定や売却後のレピュテーションを重要視されるケースも目立ちます。
こういった場合には、大企業のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション:買収後の統合プロセス)とはまた違う、買収後の事業統合プロセスがあると感じています。そして、成立後におたがいに「こんなはずじゃなかった」とならないようにするには、あらかじめ統合後を見据えてM&Aの契約締結前に買い手と売り手で話し合っていただくポイントの橋渡しが必要になります。
このようなことに総合的に対応することができ、結果、M&A後の事業がうまくいっているといったお話を聞いたときに、順調なスタートを切るためのお手伝いができたと、達成感を感じることができるのです。
財務デューデリジェンスをしていくなかで、シナジー効果やコスト削減を綿密に計算して増加する企業価値の見込みも算出してもなお、まったく買収価額に見合う企業価値があるとは思えないという結論に至ることがあります。
その場合、オーナー経営者など当事者意識の強い方でしたら、諦めるかダメ元の価格交渉に入るといった意思決定に入ったりしますが、案件の成立自体がご本人の成果となっていたり、報酬のインセンティブになっているような担当者の方だと、高値掴みや無視しにくいリスクを承知の上でとにかく案件の成立を目指すケースがあります。
かつてはこういうときにどのように振る舞えばいいかと迷うことがありましたが、現在は私自身がその案件をお勧めできない場合には、しっかりとその旨を伝えるスタイルを取っており、そのスタイルをよしと思っていただける方と信頼関係を築ければいいと考えています。
特に公認会計士のキャリアをバックグラウンドにM&Aアドバイザリー業務に携わる場合には、成果物に対する意識の切り替えが必要かと思います。監査ですと監査報告書、税務ですと税務申告書といった具合に、最終成果物が法律や規則で明確に決まっています。また、ゴールまでの過程も定型的で明確です。
対してM&Aアドバイザリーですと、まずゴールの設定が必要で、ゴールを一度設定してもそれが変動することが多々あります。クライアントのニーズがどこにあるのかということをよく聴き、その都度、調整をしていかないと最終成果物がまったく期待外れになってしまうことがあるのです。
また、ゴールへの過程についても典型的なアプローチがいくつかあるとはいえ、どのような切り口で分析するか、説明するかといった選択肢は多岐にわたります。問題の解決方法も買収価格に反映させたり、取引条件に反映させたり、譲渡対象から外してしまったりというようにさまざまな方法があります。
このような業務の性質から、M&Aにおいてはゴールやそこに至る過程に想像力を持って向き合い、狭い視野に陥らないような心の持ちようが必須になります。また、あわせてクライアントのニーズに関する傾聴力、企業のビジネスの実態・付加価値の源泉、対面している問題などに対して本質を理解し考え抜こうとする思考力、たくさんの選択肢が思いつけるような引き出しを身に着けるべく、財務・税務・法務の知識を蓄えることなども必要になると思います。
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