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福谷 賢典 ふくたに まさのり

ジェネラリストとしての幅広い視点と 出向経験に基づく会社組織への理解をもとに、 実務的なアドバイスを提供

生年月日 1979年10月4日
所属企業 島田法律事務所
役職 パートナー弁護士
最終学歴 東京大学法学部
出身地 大阪府
現住所 東京都

目 次

4達成感を感じた体験

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 規模の大小で案件の難しさ、面白さが決まるわけではありませんが、やはり大規模案件で、クライアントにとっても一大プロジェクトのようなものが、無事クロージングまでこぎつけたときには、達成感を覚えます。
 数年前、上場会社のクライアントが、やはり上場している同業他社数社を同時に子会社化するという案件を担当させていただいたことがあります。対象会社が関西や九州など全国各地に所在しており、現在のようにウェブ会議も浸透していませんでしたので、2ヶ月弱の間に全国を飛び回ってインタビューなどを実施しました。さすがにそのときの忙しさはかなりのものでしたが、その分、終わったときの達成感はひとしおでした。クライアントの担当者の方も、私たちと同様にその案件にかかりきりでしたので、打ち上げでご一緒したお酒が格別美味しかったことをよく覚えています。

5仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

 根がちゃらんぽらんなのか、あまり仕事で悩んだという記憶はないのですが、案件によっては、法務デューディリジェンスの中で浮かんだ疑問点が十分に解決されない場合があり、若干のフラストレーションを感じることはあります。
 日頃、訴訟活動を行うときなどは、クライアントに徹底的に事実確認をし、証拠提出するしないにかかわらず関係する資料を全て精査し、クライアント側の強みも弱みも含めて事案の全容を理解してから、主張・立証を構築していきます。これに対し、M&A案件の場合、概してスケジュールはタイトですし、資料開示や質問回答も、相手があることですので、必ずしも的を射た対応をしていただけないばかりか、ときにはやや誠実さを欠いていると見える対応をされることもあります。そのような場合、もちろん重大な法的リスクが潜在することが多い項目の調査を怠ることはないにせよ、そうではない項目については、多少腑に落ちないところが残っていても、それ以上の調査は断念せざるを得ないことがあります。
 もっとも、当然のことながら私たちはアドバイザーでしかなく、M&Aのプレイヤーはクライアントです。私たちの仕事は、クライアントがリスク判断をするための情報を、実務上可能な限りの方法で収集してクライアントに提供し、これを吟味していただくことに尽きます。そして、クライアントがある会社を買いたいというときに、その会社の事業の全体を見て、事業価値や自社とのシナジー等を評価し、買いたいとなるわけですから、ごく一部分の不明瞭性だけがディールの障害となるわけでは必ずしもありません。かえって法律専門家が、(言い方は悪いですが)趣味的に、質問をしつこく繰り返すなどし、先方の気分を害するようなことがあってはなりませんので、良い意味での「割り切り」は必要であると、私の中では整理しています。

6M&Aアドバイザリーに求められる資質やスキルについて

 M&Aに携わる弁護士に限定して言うならば、法的なことだけでなく対象会社のビジネスや経営にどれくらい関心を寄せられるか、ということではないかと思います(一般的なM&Aアドバイザーの方々にとっては当たり前のことだと思いますが)。
 法務デューディリジェンスは、対象会社の限られた一側面を見るにすぎず、その方法についても、契約書や社内規程など「紙」だけを相手にすることでほとんど事足りてしまう場合が多いです。昨今ではヴァーチャル・データルームが活用できますので、下手をするとデスク上で業務が完結してしまうということもままあります。
 しかしながら、「紙」から読み取れるもの以外に、社屋の雰囲気、そこで働く人たちの様子、その人たちが仕事をする中で感じるやりがいや悩み、そうした無形の情報も、「その会社がどんな会社か」を語る上で重要なものだと考えます。何より、契約書の記載内容を羅列するだけのようなデューディリジェンス・レポートは、読んでいて退屈であろうと思います。そのため私は、本来はビジネスデューディリジェンスの守備範囲であって素人があまりでしゃばらないようにはしつつも、対象会社のビジネスに関し、市場環境や対象会社の評判なども下調べした上で、その会社の業務が日々どのように回っているのかが少しでもイメージできるような情報を集めることを意識しています。そのような観点から、インタビューで社長にお話を伺うときなどは、刺激を感じることが多く、また、所属事務所の共同経営者の末席に連なる私としては、経営についてのヒントを得られたような気持ちにもなります。

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