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伊藤 智司 いとう さとし

勢いあまって起業。縁を大切に、強い責任感をもって、アドバイザリー業務を実践

生年月日 40代
所属企業 丸の内M&Aコンサルティング株式会社
役職 代表取締役社長
最終学歴 東京大学農学部
出身地 千葉県
現住所 東京都

目 次

4達成感を感じた体験

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 我々にとって規模の大小や成約したか否かにかかわらず、全ての案件は貴重な経験だと思っています。成約しなかった案件でも今後の糧になることはたくさんあります。
 達成感という意味では、もちろん成約までこぎつけた案件のほうが多いわけですが、成約に至るまでのプロセスが複雑だったり、難航したりすればするほど、達成感は大きいように思います。
 過去の経験では、ある会社を買収するために、買手側が複数社でコンソーシアムを組んで実現するという案件がありました。コンソーシアムに参加する数社は、その案件に対する熱意も思惑も各々異なり、当然ながら買収価格に対する目線なども少しずつ違いました。しかし、コンソーシアムである以上、同じ金額で札を入れる必要があり、思惑についてもコンソーシアムとして説明可能なビジョンがなければならず、その諸々の調整を一手に引き受けたのは非常に勉強になりました。私一人ではとてもできるような仕事ではなく、コンソーシアムの一社の担当役員の方の助けがあったことがその案件を成功に導き、より達成感を味わうことができたのだと思います。

5仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

 これまでの仕事経験の中で深く悩む、ということはあまりなかったかもしれません。肉体的にも精神的にもハードな仕事は沢山ありますが、比較的淡々とこなすことができるのは自分の数少ない長所だと思っています。
 ただ、人間関係に関してはそれなりに悩むこともあります。
 一つは、仲介の場合の立ち位置の難しさです。仲介は買手・売手どちらの味方でなければいけませんが、突き詰めれば利益相反の壁にぶち当たります。そこを調整するのがアドバイザーの役割ですが、少しでもバランスを崩せば、「お前はどちらの味方か?」とお叱りを受けることもありえます。そう問われてフラフラと考えを変えるのではなく、その案件に対する自分なりの信念を持つことで売手・買手の納得感を醸成していくことが大事だと思っています。
もう一つは、一緒に仕事をするメンバーとの関係です。私が中間管理職だった時代、部下が退職していく際は非常につらい思いがありました。退職理由は人それぞれですが、私自身ではどうにもならない理由のときは悔しい思いもしました。実は起業した動機の一つは、自分が起業すればそういったことを少しでも減らせるのではないかと思ったからです。
 今、私と一緒に働いてくれているメンバーはかけがえのない仲間だと思っています。だからこそメンバーが「居心地いいな」と思ってくれるような職場づくりを心掛けています。

6M&Aアドバイザリーに求められる資質やスキルについて

 スキル的な面でいえば、金融、財務や法務などの何らかの専門性を持っているに越したことはありませんが、浅く広く物事を知っていること、仮に知らないことでも短期間でキャッチアップできる能力も重要だと思っています。
 M&Aアドバイザリーの仕事は全体の統括であり、アドバイスです。専門的なことは弁護士や会計士の先生にお任せするにしても、我々もある程度理解できていないとまともなアドバイスができません。
 また、業界特化のM&Aアドバイザーになるのでなければ、日々自分の知らない業界に接することは多々あります。経験があればよいのですが、その業界経験がない場合はものの数日で徹底的に業界について勉強し、理解し、それなりの意見が言えるようになる必要があります。
 資質面においては、自分のことより他人のことを思いやることができ、なおかつ性格が温厚であれば言うことなしです。
 実際、自分や自分の会社の都合で報酬を得るため、売手や買手を置き去りにしてM&Aを強引に進めたがるアドバイザーや、買手のアドバイザーに対し乱暴な言葉を投げかけてくる売手のアドバイザーなどもいます。
 M&Aというのは関わる全ての人にとって極めて重要な意思決定であり、そこには利害もありますので「みんな仲良く円満に」という訳にはいかないですが、そういった中でも自分と違う立場にいる人の気持ちを思いやることが成功の秘訣だと思っています。

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